広報紙『学園通信』309号(2013年10月15日号)学長メッセージ
Date:2013.10.15
その他
駒澤大学の伝統と江戸・東京
―開校130周年、駒沢移転100年―
学長 廣瀬 良弘
今日、日本文化の代表的なものの多くは、中世から江戸時代初期に育まれたものです。能・狂言から歌舞伎、茶道、華道、枯山水の庭、水墨画、書院造り・床の間の文化などで、これらは禅の影響を強く受けました。能の世阿弥も曹洞禅僧の門弟です。一方、禅僧たちは在地の武士や長者(武士的商人)ばかりでなく、農民や鍛冶屋・紺屋・漁師などの民衆にも受容され、乱世の日本各地に展開いたしました。
東京は2度目のオリンピック誘致に成功しましたが、その江戸・東京の祖とされる太田道灌は江戸城を造り、その傍に本学の前身の前身である曹洞宗吉祥寺を建てます。今から550年前のことです。本学の傍にオリンピック公園ができたのもその縁でしょうか。その後、徳川家康が江戸に入城し、その拡張工事のために、吉祥寺は水道橋の外に移転します。文禄元年(1592)、その吉祥寺の境内に旃檀林(当初は学林)が建てられます。420年前のことです。明暦3年(1667)、振り袖火事により、吉祥寺(旃檀林)は駒込に移転し、幕府の昌平黌と学力を競ったといいます。
明治6年(1875)、学寮の伝統を受け継いで、愛宕下の青松寺に曹洞宗専門(学)本校が成立しますが、一年後に、手狭であったために駒込の吉祥寺旃檀林に移ります。
そして、麻布の北日ヶ窪の地(現在の六本木ヒルズ・テレビ朝日のあたり)に明治15年(1882)、曹洞宗大学林専門(学)本校が開校されました。昨年、開校130周年を迎えました。そして、大正2年(1913)、駒沢村に移転して、100周年になります。駒澤大学は禅の精神・日本の文化、禅僧や学林の伝統を継承し、発展・飛躍してきたのです。